3.結果
3−1 グルコースや銀イオンの及ぼす呼吸活性の変化
１) 流入時間を試料7分，蒸留水３３分とした。試料は、1〜4ターン全て、(フローセル内濃度)0.5mMグルコース溶液を用いた。約3.5日分の測定結果である。Fig.8のグラフは冷蔵(５℃)保存状態にあった固定化膜を測定に使ったため、データの最初のほうはグルコース流入時の微生物の呼吸活性が小さく、だんだんと大きくなり一定化している。また、微生物の内性呼吸の緩やかな増加(ベースラインの減少)がみられた。
Fig.8 B.subtilisへのグルコースの及ぼす呼吸活性の変化
２）Fig.9はFig.8のグラフを一部拡大したものである。グルコースに対する呼吸活性の増加量はほとんど変化していないことがわかる(呼吸活性の安定化)。
Fig.9 B.subtilisへのグルコースの及ぼす呼吸活性の変化
3）Fig.10ではFig.8，9で用いた固定化膜とは別に作製したB.subtilisの固定化膜を用いて測定を行った。流入時間は試料７分，蒸留水３３分とした。１ターン目にフローセル内濃度、20μM銀イオン溶液を添加し、２〜４ターン目にフローセル内濃度、0.5ｍMグルコース溶液を添加した。このグラフのはじめのほうでは、銀イオンを添加すると、グルコースを添加した場合と異なる長期(１サイクル)にわたる緩やかな呼吸活性の増加がみられた。その呼吸応答と同時に、内性呼吸の低下がみられた。内性呼吸が低下するにつれ、グルコースおよび銀イオン添加時の呼吸応答も低下していた。
Fig.10B.subtilisへのグルコースおよび銀イオンの及ぼす呼吸活性の変化
４）Fig.11では、Fig.8，9，10で用いたのとは別に作製したB.subtilis固定化膜を用いた。流入時間は試料１０分，蒸留水５０分とした。１ターン目にフローセル内濃度、20μM銀イオン溶液を添加し、2〜4ターン目にはフローセル内濃度、0.1ｍMグルコース溶液を添加した。銀イオン添加時に１サイクルにわたる(グルコース添加の場合と異なる)呼吸活性の増加が、観察された。全体的な内性呼吸には低下がみられたが、試料添加時の呼吸応答には低下がみられなかった。また、銀イオン添加時の呼吸活性には若干の増加がみられた。
Fig.11 B.subtilisへのグルコースおよび銀イオンの及ぼす呼吸活性の変化
５）Fig.12ではFig.8〜11で用いたのとは別に作製したB.subtilis固定化膜を用いて測定を行った。流入時間は試料７分，蒸留水３３分とした。１ターン目にフローセル内濃度、50μM銀イオン溶液を添加し、２〜４ターン目にフローセル内濃度、0.2ｍMグルコース溶液を添加した。このグラフでは銀イオン添加に伴う呼吸活性の増加が測定のはじめはわずかに観察されたが、その後、ほとんど観察されなかった。内性呼吸およびグルコース添加時の呼吸応答の低下が観察された。
Fig.12 B.subtilisへのグルコースおよび銀イオンの及ぼす呼吸活性の変化
